タイの教育制度 ~歴史と大学から見る特徴~┃タイ政治/経済


Posted on Nov 22, 2016



みなさん、こんにちは。突然ですが、今回のテーマは・・・!

タイの教育制度(前編) ・大学ランキング(後編)

について書いていきます。日本の教育制度と似ているので気にならないことも多いのですが、実は似ているから勘違いをしてしまい、不仲の原因になってしまっていたりもします・・・

私自身過去にタイ人に直接聞いてみたもののタイ人は、 自分に関係のある部分しか理解していないため、全体像がなかなか伝わってきません。

来週の回では、 大学ランキングも掲載致します。 タイの大学ランキングは、毎年順位変動が多く切磋琢磨しながら、教育の質を上げている様子が見受けられます。 学部や基準によって、ランキングが変動するくらい接戦です。ASEANでのランキングも掲載するので、タイの教育水準・日本の教育水準を他の国々と比較してみてください。

タイの教育制度と歴史


もともとは、13世紀にラムカムヘン王がタイ文字を作り、普及のため教育施設を作ったことが、タイでの教育制度の始まります。(結構、タイ文字って新しいんですね。)
当時、学校に行けたのは王族・貴族に限られていました。庶民は仏僧から教えられていました。
日本の寺子屋に似たようなものでしょうか。

16世紀中頃より、ポルトガル・フランス人によるカトリック布教が広まっていたこともあり、教育が西洋化されそうになったことがありましたが、17世紀後期に国の西洋化を避けるため外国との交流を減らしました。(日本でいうところの鎖国ですね。)

その後、外圧がなかったため、変化なく長年独自の教育制度を維持してきました が、東南アジアが国際的な緊張に巻き込まれ始めた1921年、チュラロンコーン王により近代的な大学が完成します。近代的な教育制度とは、能力・性別・社会的背景によらない教育を受ける権利を言います。つまり、教育を受ける機会の平等が基本原則となります。

 

タイの教育制度・学校区分について


タイの学校区分については、日本と大きな違いがありません。保育園・幼稚園、小学校(6年)、中学校(6年)、大学(4年)と別れています。中学校は前期(3年:日本でいう中学校)と後期(3年:日本でいう高校)に別れています。詳しくは下の表を見てください。


全体的にタイの青年識字率は98.1%と非常に良く、国民の中に教育が染み渡っています。農村の幼い頃より働かなくてはならない子や、一部の恵まれない子達を除き、一般的には教育の機会に恵まれています。

小学校に関しては、6年間の義務教育となり、1年生のことをポー1と言います。つまりポー1からポー6を小学生と定義します。
このポー6(6はタイ語でホック)、タイ語検定の名前になっています。「ポーホックの資格を取りました」ということは、小学生6年生レベルの国語力が身につきましたということです。
つまりは、ほぼ完璧にタイ語を使えるというレベルですね。

中学校は前期と後期に分かれています。前期までは義務教育ですが、後期からは任意となっています。後期からは日本でいう高等学校と専門学校に分かれます。それぞれの希望する進路に向かって選択が必要となります。
中学校・後期への進学率は日本ほどではないですが、75.1%と非常に高いです。(日本約90%、イギリス約70%、ドイツ約80%程度)タイも学歴主義の色合いは強く、「良い人生を過ごしたければ、良い学歴を手に入れなければならない」 という思想は強いようです。

大学に関しては、21世紀になってから大学が乱立した影響もあり、学生の質はピンキリと言われています。入学試験がない大学や、お金持ちしか入れないような大学だったり、能力とは関係のない大学も存在します。

 

 

タイと日本の教育システムの違い


あまり話題に上がることはありませんが、学期(セメスター)の始まりが異なります。タイの新年のスタートは5月16日からとなります。しかし、終わりは3月15日となり、あいだの 2ヶ月間はなんでもないシーズンとなります。
この期間に親戚の家へ行ったり、職業訓練に行ったりします。

次に挙げられるタイと日本の教育システムの違いですが、大学の卒業式は翌年の2月にあります。新卒の子とお話をしていたりすると、「卒業をして1年近くたってから、卒業式に行くのでお休みをもらいます」 。なんて話があります。
訳のわからないことを言っているわけではなく、タイのルールとして決まっているので理解してあげてください。

最後は、徴兵に関して書きたいと思います。学校制度とは直接関係があるわけではないですが、日本では馴染みがなさすぎて、話題に挙がることが多いです。
タイの法律では18歳から21歳の間に徴兵検査を受ける義務があります。徴兵が決まった場合、2年間の兵役の義務を負います。
ただし、一般の学生でも中学後期に軍事科を受けていた方は、徴兵検査を免除されます。裕福な学生の多くはこの軍事科を受けているいるため、徴兵検査≒兵役を回避しているようです。

 

 

タイ人の学業に関する認識


日本と制度的には大きな違いは見られません。ただ、大きな違いは考え方にあります。日本でも4年制の大学への進学率は60%弱です。タイでも大きな違いはありませんが、タイの場合4年制の大学に行ける方はある程度裕福であると言うことが言えます。(学費がほとんどかからないような大学もありますが・・・)私たち日本人は、タイのランキングTOP10に入る大学を卒業している方と会うことが多いです。何故ならば、英語が喋れる方に限定をされたり、オフィスでホワイトカラーとして働いている方は、この層であることが多いからです。つまり、タイの中にいるエリート層と仕事をすることが多いです。

次にタイでは、「職業には貴賎あり」の考え方です。どのような仕事であっても全て尊い仕事という認識はありません。大学を卒業をしている人が肉体労働をすることはありえないと考えている方がほとんどです。これらの認識の違いは、簡単には拭い去れないものなので、外国人である我々が違いを認識していると、誤解や不要なトラブルを避けられると思います。

今回はタイの教育システムについて書かせてもらいました。
来週は、タイの教育システムのグローバルランキングについて、書かせてもらいます。

では、また来週!!

 


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