タイとビッグマックと生活水準と|タイ政治経済
こんにちは。今回は有名な経済情報雑誌The Economistが1986年から発表しているビッグマック指標について見てみたいと思います。2016年の7月に発表されているのですが、やっと書く余裕ができました。あまり大した記事ではありませんが、キャッチーな指標ですので、会話のネタにしてもらえると嬉しいです。
ビッグマック指標とは何ぞや
ビッグマック指標とはその名前の通り、世界各国のビックマック1個の値段を比較した指標となります。マクドナルドは世界中の至る所にあり、どの国でもビッグマックは販売されているようです。(金融危機の影響で、マクドナルドはアイスランドからは撤退したそうなのでアイスランドではビッグマックは食べられないようです・・・)
ビッグマックを1つを作るためには、原材料の物価・人件費・賃料やテナントの光熱費など様々な要素を総合的に考慮した上で決定されます。ビッグマックはその国の総合的な購買力を調べるには都合が良かったようです。
その他、スターバックス指標や、コカコーラマップ、iPod指数など良く似たようなものもあります。そんなキャッチーで便利そうなビッグマック指標ですが、ただ一つ欠点があります。実際のビッグマックは、各国で使われている原材料も違えば、サイズなども若干異なります。パンズの量が少し多いや、チーズが少ないなど・・・つまり、指標としては信頼性に欠けるデータではありますが、本気で捉えずに話のネタくらいに使ってもらえればと思います。
http://www.economist.com/content/big-mac-index
日本の物価は思ったほど高くない!?
下の表はあくまでビッグマックの価格だけを日本円ベースで比較をしたものとなります。一部分ではありますが、有名な国や日本と関係の深そうな国を選んでリストにしてみました。イメージ通り、北欧やヨーロッパの物価が高いイメージとなりました。スイスに関しては、ビッグマック指数上位の常連さんになります。
ビッグマック指数
|
ランキング |
国 |
日本円 |
US Dollar |
1 |
スイス |
672 |
6.59 |
2 |
ノルウェー |
562 |
5.51 |
3 |
スェーデン |
533 |
5.23 |
5 |
アメリカ |
514 |
5.04 |
16 |
ユーロ圏 |
429 |
4.21 |
23 |
韓国 |
394 |
3.86 |
32 |
日本 |
354 |
3.47 |
34 |
タイ |
347 |
3.4 |
45 |
ベトナム |
274 |
2.69 |
47 |
香港 |
253 |
2.48 |
49 |
インド |
246 |
2.41 |
54 |
マレーシア |
203 |
1.99 |
(1ドル102円で換算)日本は対象国の55か国中32位(354円)、なんとタイは34位(347円)です。他のASEAN諸国と比較をしても(ベトナムの45位、マレーシアの54位)タイのビッグマックは大変高いことがわかります。また日本の物価は多くの日本人の方が想像しているような高さではないということも驚きでした。日本と比較しても物価が安いと言われているタイですが、このような高い数字になるとは予想していませんでした。(確かにタイでマクドナルドは高いと前から思っていました。)
タイの中ではマクドナルドは高級品の扱いか!?
どうしてそんなにもタイのビッグマックが高いのかを調べてみたところ、一人あたりのGDPとビッグマックの価格を比較したグラフがあったので見てください。(下のURLからリンクに飛んでください。)
http://www.economist.com/content/big-mac-index
日本の一人あたりのGDPが$32,436なのに対して、タイは$5,742です。ビッグマックの価格との相関関係は日本のビッグマックの価格がGDP一人あたりにの0.01%なのに対して、タイのそれは0.05%と大きな開きが見られます。日本人の感覚で言うならば、ビッグマック1個が1,500円くらいする感覚ということになります。気軽に行けるファーストフードショップではなさそうですね。タイのマクドナルドはクーラーもかかっていますし、電光掲示板が設置されており料理の順番が来たら教えてくれます。設備にもお金がかかっていることはすぐにわかるかと思います。タイではマクドナルドはちょっと高級なレストランに近いかもしれません。
このような現象がなぜ起こっているのか言うと、タイでは選択肢が多いことが挙げられます。日本の場合は、競合が多いだけでなく、多くの競合相手が同価格帯での競争をしています。マクドナルドに行くのも、ケンタッキーフライドチキンに行くのも、予算としては大きな違いはないと思います。みなさんもお昼ご飯を食べる時、予算として500円から700円くらいの間で想定されていらっしゃるかと思います。ただし、タイではお昼ご飯と行ってお、安くすませれば40バーツくらいからでも充分に食べられます。逆に高いものを見てしまえば、600バーツくらいでしょうか。日本円(3円換算)で言うと、120円から1,800円くらいまで・・・
タイの物価は安いと言うことが多いですが、厳密に言うならば、「自分の予算にあった生活ができる選択肢の広い国」と言ったところでしょうか。日本は一億総中流と言われているくらいですから、マーケットとして中流所得者向けのサービスや商品ばかりで溢れることとなります。タイではこだわるところにはこだわり、気にしないところは安く済ますと言うような個性に合わせて生活ができます。
余談:ビッグマックを買うために働く
余談ですが、The Economicsは、「ビッグマックを1個書くための労働時間(都市別)」というのも発表しています。つまり、一人当たりの労働賃金とビッグマックの価格の関係性を表したものとなります。日本はランキングでは、世界第3位の10.4分働けばビッグマックを1個買う事ができるようです。1時間あれば、5.7個もビッグマックを買う事ができます。1日8時間働けば、なんと43個にもなりますね!(年間では11,076個)
バンコクでは37.5分の労働で1個のビッグマックを買う事ができます。(日本人の平均賃金ではないですよ!)1日働いたとしても、10.6個しか買えません・・・(年間3,072個)ちなみに、バンコクのビッグマックに対する賃金レートはまだ良い方で、ナミビアでは、ビッグマック1個買うために、172.6分(約3時間)働く必要があります。こうして美味しいものにありつけることに感謝をしながら、日々労働したいと思いました。