タイの人口動態ってどうなってるの?|タイ政治経済
こんにちは。前回は在留日本人の人口について書かせていただきましたが、今回はタイ人の人口について見てみようと思います。その国の将来の経済力を予測するためには、人口は大きな要因となります。また、どのような人が多く占めるのかというポイントも重要です。本日は、タイの人口動態の変化を日本と照らし合わせながら見ていきたいと思います。
まずは、比較対象として日本の人動態グラフを見てみる
タイのものだけを見ても比較ができないので、まずは日本のグラフを見てみます。今回はデータは国連のDepartment of Economic and Social Affairs, Population Division(国連統計局)を参照しています。



上のグラフは1950年、2015年、2050年(予想)の人口を年齢別に示した表です。人口動態のグラフを見るときに重要なことは、年齢に応じて経済に与える影響が違うということです。
- 人口動態グラフで最も重要な概念は、労働力人口と言えます。15歳~60歳くらいまでの人は働くことができるので、生産性のある層となります。
- 60歳を超えると、生産性がなくなり社会保障の負担となります。
- 人は年を取っていくので、若い層は将来的に労働力になったり遠い将来では高齢層になるので、予測に役だちます。
日本の1950年には、男性30代前半は戦争の影響で一時的に少なくなっていますが、全体的に見るとピラミッド型 であると言えますね。その後、2015年になると 、出生率の低下の様子が伺えます。40歳代を境に若い世代が少なくなっていきます。その後も出生率の低下は止まらず、2050年には非常に頭でっかちな形になります。つまり若い世代が減少していき、高齢者の方が増えてくるということを示しています。経済活動では、生産性のある労働者人口が減少し、医療・社会保障の負担が多くなってきます。良く言われる少子高齢化というやつです。ちなみにですが、60歳以上の人口比率が7%-14%の状況を「高齢化社会」と言い、14%以上を「高齢社会」と国連の定義では言います。現在の日本は高齢社会と言えるようです。
タイの人口動態グラフを見てみる



現在(2015年)を見てみると、労働人口が最も多いフェーズに差し掛かっています。グラフを良く見てみると、最も人口の多い層が現在40代の層であることがわかります。タイの定年退職は50歳から55歳 ですので、この10年の間でみなさん定年退職を迎えられ社会保障の対象となっていきます。ただ、日本と違う点は、日本のように充実した年金制度があるわけではないので、大きな社会負担になることはありませんが、いずれにしても家計を支えていた方々が退職をしていくこととなりますので、家庭の負担という意味では増えてしまいます。
今後、想定されることとしては、若い世代の人達が高齢者を支えるために負担を強いられることとなり、可処分所得が減ってしまうこととなり、内需の減少につながらないか心配です。その反面、医療・保険・介護といった分野が拡大することが想定されるので、今までは目立った産業が大きくなっていくことが想定されます。また、今まで家や自動車などの大型な出費(投資)に関しても前向きだったものが、今後はショートスパンでの購買に切り替わっていく のではないでしょうか。
タイの高齢化社会について
タイでは平均寿命が延びていること、出生率の低下より高齢化社会への道を進んでいます。他のどの国でも同じプロセスを進むこととなりますが、タイは他のASEAN諸国と比較しても早いタイミングで高齢化社会へ突入することとなります。現在のタイの高齢者の割合は約10%近くあり、国連の定義(7%以上)ではすでに高齢化社会に突入していることとなります。その後、20年-22年の間で14%を突破し高齢社会となりなり日本と同じ状況を向かえることとなります。日本と比較すると、年金制度が充実していない点と核家族化が進んでいないため、家族で高齢者を支えるということが一般的であることから、深刻な問題にはなっていません。
ただ、ビジネスという観点から人口動態を分析すると、大きな転換点に差し掛かっているということには間違いはありません。人はそれぞれの年齢に応じて、必要となるものが変わってくることを考えると、人口動態の変化に応じて、必要とされるサービスや需要の拡大・減少を予測することができるでしょう。人材の面では、この10年でシニアマネジメント層が退職する時期を迎えるため、次の世代の方が活躍する時代とも言えます。上のポストが空くので、若い方の中でも優秀な方が登用される時期がこの10年以内に起こりうることが予想されます。
次回はタイの産業(農業・工業・サービス)について、書いていきます。人口の移り変わりとタイの産業の変化から、次のタイを予想していきます。次回も楽しみにしていてください。
参照:
United Nations, Department of Economic and Social Affairs, Population Division.
https://esa.un.org/unpd/wpp/